近年、職場でのセクハラ問題が大きな社会課題として注目されています。セクハラは被害者に深い心の傷を負わせるだけでなく、職場の雰囲気を悪化させ、働く意欲まで奪ってしまう深刻な問題です。
でも、「セクハラする人ってどんな特徴があるの?」「なぜセクハラをしてしまうの?」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。セクハラから身を守るためには、加害者の特徴や心理を知ることがとても大切です。
この記事では、セクハラする人の特徴や心理的背景、そして職場環境の問題点について詳しく解説していきます。また、セクハラ被害から自分を守るための具体的な対策方法についてもお伝えしていきますので、ぜひ最後までお読みください。
セクハラする人によく見られる7つの特徴
セクハラをする人には、いくつかの共通した特徴が見られます。ここでは、特に気をつけるべき7つの特徴について詳しく見ていきましょう。
自分の言動に無自覚な人
セクハラをする人の多くは、自分の言動がセクハラだという認識がありません。「冗談のつもりだった」「親しみを込めて言っただけ」と、相手の気持ちを考えずに発言してしまいます。
たとえば、「かわいいね」「スタイルいいね」といった外見に関する発言や、「彼氏いるの?」「結婚はまだ?」といったプライベートな質問を、何気なく投げかけてしまうのです。本人は善意のつもりかもしれませんが、受け手からすれば不快な言動となってしまいます。
相手の気持ちを読み取れない人
セクハラをする人の2つ目の特徴として、相手の気持ちや表情の変化に鈍感な点が挙げられます。相手が嫌な顔をしていても、それに気づかないか、気づいても「気にしすぎだろう」と軽く考えてしまうのです。
たとえば、食事に誘って断られても、しつこく誘い続けたり、相手が話題を変えようとしているのに性的な冗談を続けたりします。このように、相手の気持ちを察することができない、あるいは無視してしまう傾向があります。
自信過剰な人
「自分は異性にモテる」「地位が上だから従うはず」といった過剰な自信を持っている人も、セクハラをしやすい傾向にあります。特に職場での地位や経験を盾に、相手が拒否できない立場を利用してセクハラ行為を行うことがあります。
たとえば、「俺が認めてあげているんだから」といった上から目線の態度で、不適切な言動を正当化しようとします。このような人は、自分の行動を批判されることを極端に嫌う傾向もあります。
権力を振りかざす人
職場での立場や権限を利用して、相手を支配しようとする人もセクハラの加害者となりやすいです。特に上司や先輩といった立場にある人が、その権力を使って相手を思い通りにしようとする例が見られます。
具体的には、「言うことを聞かないと評価に影響するよ」といった暗示的な発言や、「付き合いが悪い」と噂を流すなど、相手が断りにくい状況を作り出します。
衝動的な性格の人
自分の感情や欲求をコントロールできない人も、セクハラ行為に走りやすい傾向があります。特にお酒の席などで理性が効かなくなると、普段は抑制している言動が表に出てしまいます。
たとえば、酔った勢いで身体に触れたり、露骨な性的な話をしたりするなど、相手の気持ちを考えない行動を取ってしまいます。こうした人は、後で反省していても、また同じことを繰り返してしまう傾向があります。
人の話を聞かない人
普段から他人の意見や気持ちに耳を傾けない人も、セクハラをしやすい特徴の一つです。自分の考えを押し付けたり、相手の意見を無視したりする傾向が強く、セクハラだと指摘されても聞く耳を持ちません。
「そんなつもりじゃない」「あなたが気にしすぎ」といった言い訳をして、自分の非を認めようとしない態度も特徴的です。このような人は、組織の中でも問題のある存在として認識されていることが多いです。
職場内の常識に欠ける人
基本的な職場のマナーやルールを理解していない人も、知らず知らずのうちにセクハラ加害者となってしまうことがあります。特に、公私の区別がつかない人や、職場での適切な距離感がわからない人に多く見られます。
たとえば、プライベートな話を頻繁にする、必要以上に親しげな態度を取る、といった行動が該当します。このような人は、自分の言動が職場にふさわしくないということに気づいていないことが多いのです。
セクハラ加害者の心理的背景とは
では、なぜ人はセクハラをしてしまうのでしょうか。その背景には、いくつかの心理的要因が隠されています。ここでは、セクハラ加害者の心理について深く掘り下げていきましょう。
自己中心的な価値観を持っている
セクハラ加害者の多くは、自分の価値観や考え方を相手に押し付ける傾向があります。「女性はこうあるべき」「若い人は年上に従うべき」といった固定観念が強く、相手の立場や気持ちを考えることができません。
このような価値観は、時として「セクハラではなく指導している」「相手のためを思って言っている」といった形で正当化されます。しかし、これは完全な思い込みであり、相手の人権を無視した一方的な考え方です。
相手の気持ちを読み取る能力が低い
多くのセクハラ加害者は、相手の気持ちを適切に理解する能力、いわゆる「共感性」が低いことが指摘されています。「自分が楽しければ相手も楽しいはず」「嫌なら言ってくれればいい」といった安易な考えで、相手の立場に立って考えることができません。
特に、職場という人間関係では、明確に嫌悪感を示すことが難しい場合が多いことを理解していません。相手が笑顔で対応していても、内心では強い不快感を抱いているかもしれないという想像力が欠如しているのです。
過去のセクハラ行為が黙認されてきた経験
過去に同様の言動をしても問題にならなかった、むしろ周囲から笑いを取れたという経験が、セクハラ行為を助長させる要因となることがあります。「今までも許されてきた」という思い込みが、不適切な言動を繰り返させてしまうのです。
特に、組織の中で地位が上の立場にある人は、部下や後輩が明確な拒否反応を示さないため、自分の言動は許容されているという誤った認識を持ってしまいがちです。
セクハラが起きやすい職場環境の特徴
セクハラは個人の問題だけでなく、職場環境にも大きく影響されます。どのような環境でセクハラが起こりやすいのか、詳しく見ていきましょう。
男女の権力格差が大きい環境
管理職のほとんどが男性で、女性は補助的な役割が多いといった職場では、セクハラが起こりやすい傾向にあります。このような環境では、女性が意見を言いにくく、不適切な言動があっても声を上げづらい雰囲気が作られてしまいます。
また、昇進や重要な意思決定に男女差があるような職場では、立場の弱い側が意見を言えない状況に追い込まれやすく、セクハラ被害が潜在化しやすくなります。
コミュニケーションが閉鎖的な環境
職場のコミュニケーションが閉鎖的で、上司と部下の間で率直な意見交換ができないような環境も、セクハラのリスクが高まります。問題があっても相談しづらい、声を上げにくい雰囲気があると、セクハラ行為が見過ごされてしまう可能性が高くなります。
特に、「空気を読め」という雰囲気が強い職場では、セクハラ被害を受けても「場の空気を乱したくない」という思いから、問題提起をためらってしまうことがあります。
ハラスメント対策が不十分な環境
セクハラに関する研修や教育が行われていない、相談窓口が整備されていないなど、組織としての対策が不十分な職場も要注意です。ハラスメントの防止方針が明確でなく、具体的な対応策が示されていない環境では、加害者も被害者も適切な行動が取れません。
また、過去にセクハラ問題が発生しても適切な対応がなされなかった経験がある職場では、「言っても無駄」という諦めの気持ちが蔓延し、新たな被害を生む土壌となってしまいます。
セクハラ被害から身を守るための具体的な対策
では、こうしたセクハラから自分を守るために、具体的にどのような対策を取れば良いのでしょうか。実践的な方法を見ていきましょう。
明確な拒否の意思表示をする
セクハラを受けた時は、はっきりと拒否の意思を示すことが重要です。「それは不快です」「やめてください」と、明確に伝えましょう。笑って誤魔化したり、曖昧な態度を取ったりすると、相手が「許されている」と誤解してしまう可能性があります。
特に初期段階での対応が重要です。些細な冗談のようなセクハラでも、きちんと意思表示をすることで、より深刻な被害を防ぐことができます。
証拠を残す
セクハラを受けた際は、できるだけ具体的な記録を残すようにしましょう。日時、場所、内容、目撃者の有無などを細かく記録しておくことで、後の対応に役立ちます。
また、メールやメッセージでのやり取りは保存しておき、できれば信頼できる同僚にも相談して、状況を共有しておくことをお勧めします。一人で抱え込まず、周囲のサポートを得られる体制を作っておくことが大切です。
職場の相談窓口を利用する
多くの企業では、セクハラの相談窓口が設置されています。一人で悩まず、積極的に相談窓口を利用しましょう。相談内容は守秘義務によって保護されるので、安心して相談することができます。
また、社内の窓口だけでなく、労働局の雇用環境・均等部(室)や、各種の相談機関など、外部の窓口を利用することもできます。状況に応じて、適切な相談先を選びましょう。
最後に
セクハラは、決して被害者に責任はありません。しかし、残念ながら完全にセクハラをなくすことは難しいのが現状です。だからこそ、セクハラする人の特徴や心理を知り、自分を守るための対策を講じることが重要なのです。
この記事で紹介した内容を参考に、職場でのセクハラから身を守っていってください。そして、もし周りでセクハラを見かけたら、勇気を持って声を上げることも大切です。一人一人の意識が、よりよい職場環境を作っていくことにつながるはずです。
私たち一人一人が、セクハラのない、誰もが安心して働ける職場を目指して、できることから始めていきましょう。
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